令和2年度 第3回 北海道管理河川の川づくりワーキング
日時 令和3年2月26日(金) 14:00~16:00
場所 十勝総合振興局 地下会議室
令和2年度 第3回 北海道管理河川の川づくりワーキングが、令和3年2月26日(金)に開催されました。
第2回に実施した現地見学会を受け、令和2年度の砂防事業、河川事業、河道内樹木伐採について帯広建設管理部から説明し、その後、ワーキングメンバーによる質疑応答や意見交換を行いました。
※ 意見等については事務局にて要約しています。
北海道管理河川の川づくりワーキングのメンバー(○印:今回の出席者)
一般財団法人 十勝エコロジーパーク財団 近藤 孝志
浦幌野鳥倶楽部 武藤 満雄 ○
NPO法人 十勝多自然ネット 河合 将弘 ○
帯広ウチダザリガニ・バスターズ 鏡 坦 ○
帯広川伏古地区子どもの水辺協議会 関川 三男 ○
帯広市町内会連合会 環境衛生部会 (各回、出席者を決定)
川と河畔林を考える会 髙倉 裕一
地球環境を守る十勝連絡会 平譯 正勝 ○
十勝川水系の生態系再生実行委員会 石垣 章 ○
十勝川中流部市民協働会議 紅葉 克也 ○
十勝川のシシャモを守る会 越谷 光裕 ○
十勝環境問題連絡会 久保下 正哲 ○
日本野鳥の会十勝支部 尾崎 高博 ○
帯広建設管理部 事業課 石井 正樹 ○
議事項目
1. 砂防事業について
① 居辺川砂防工事
② 美生川砂防事業
2. 河川事業について
① 帯広川改修工事
② 伏古別川改修工事
③ 美生川改修工事
④ ピウカ川改修工事
⑤ サラベツ川改修工事
⑥ 旧途別川改修工事
⑦ 渋山川・居辺川河川区間
⑧ 然別川総合流域防災工事
3. 河道内樹木伐採について
① 河道内樹木伐採のあり方について
② R2年度河道内樹木伐採予定の概要
③ 各河川の河道内樹木伐採
メンバーから出された主な意見等
【二ホンザリガニについて】
・河床間隙水の年間の水位が安定している所にニホンザリガニが多い。大きな工作物を造った時に地下水がどのように変動するだろうか。
・伏流水により地面の下に水があって、それが安定していれば、表面の水が枯れてもザリガニは耐えられる。
・右岸段丘からの湧水域が枯れないように施工時はポンプ等で対応するということだがこれがどうなるか、地面の下の水の様子をもう少し詳しく見てみないとわからない。
(事務局)右岸側は河川水の影響は受けてない。7号床固工を施工しても確認されている水脈を分断していないので、工事の直接の影響はないと考えている。左岸側の湧水は調査時期によって枯れているが影響関係性は見えた。8号床固工を造ると左岸湧水域に水が行かなくなるのではないかということが現時点の問題点である。伏流水を確保するために工事で元々の地山を傷めないことや盛土して固めることをしないことを考えている。
【サクラマスなどについて】
・昨年は水が非常に少なくて澪筋がなく、サクラマスの稚魚を確認することはできなかった。ただし、平成30年にサクラマスの親が確認されており、もしこの親が産卵して稚魚が生き残っていたとすると、今年親になってまた戻ってくる可能性が高い。慎重に調査をやっていきたい。
・十勝ではサクラマスの遡上が最近多いように見受けられる。川を守って、たくさんの魚が遡上するような環境を創っていただきたい。
・魚類調査をやるとほとんどの所でヤマメがいっぱい捕れており、今回、新たに柏林台川でも非常に多く確認されている。一時、ヤマメは十勝川水系にはほとんどいないと言われて、外来種のニジマスが十勝川を乗っ取ったような感じだったが、今回の調査結果を見るとニジマスの数がそれほど多くなく、在来種のヤマメが増えてきておりとても好ましい。
・一方、同じ柏林台でブラウントラウトが見つかっている。他の魚を稚魚の段階で食べてしまうという魚食性が非常に高い魚なので、注意深く見ていく必要がある。
【ウツベツ川について】
・重機を借りて、澪筋を造る工事を行った。通常は図面を書いて杭を打って、きっちり図面どおりに造るのだが、今回は、その場の感覚で、オペレーターの方にイメージを伝えて良い川を造っていただいた。あとは目論見通りにサクラマスの親が上ってくれることに期待していきたい。
・ウツベツ川が野草園の中を通っているが、20年ぐらい前に野草園の乾燥化という問題が出た。ウツベツ川の水位が下がった影響も考えられるし、十勝池の富栄養化との関係もあるかもしれない。関心が深いところなので、どのような問題があるか知りたい。
【河道内樹木について】
・河道内樹木の伐採を進めてもらうのは良いが、これから問題になるのは再樹林化である。この環境を守るために再樹林化防止の研究をしていただきたい。
・十勝川の方では抜根処理しているが、多分それでもまだ生えてくるだろう。いろいろな検討も必要であり、皮を剥ぐなどの方法があるのかもしれないが、やはりあまり大きくさせないことが一番であり少しでも早くから維持するのが良い。
・伐採後すっきりしたものも、あっという間に木がまたどんどん伸びている。伸びれば魚が上がってくるせいか、子供たちが良く釣りをするようになるという傾向もあって、維持管理の問題と自然が戻ってくることのバランスをどうとるのかが問題か。
・再樹林化の防止は大きな宿題である。行政に任せるのか、自分たちでやるのか、そこの峻別が大事だと思っている。造る時にはいろいろなことを考えるが、維持するという方策を、「川守」みたいに見守れると良い。
【多自然川づくりについて】
・売買川の伐採地区で、今から30年前にはヤナギを挿し木していた、あの時代は、それが自然だということで多自然工法として進めた経緯がある。しかし、そういうことがちょっと違うということが近年増えてきていて、やり方がそれぞれ変わってきているのだと思っている。
【親水活動について】
・安全安心を第1に考えながら、後世の子供たちに何とか川に親しんでもらいたいと思って活動している。今後とも継続して続けていきたい。
【化石林について】
・今回の工事では化石林が確認されなかったということだが、パンケビバウシ川と然別川との合流点辺りにたくさん化石林がある。あと下流の方にも、河床にいっぱい亜炭や化石林があり、出水により流されて無くなってしまうので、現地に行ったら注意して見ていただけたらと思う。
【抽水植物について】
・ミクリの保全について上流から種が流れて発芽するというよりも、カモなどの野鳥が食べてそれが糞として一緒に出てそこから発芽することが可能性としてあるので、上流にあるから大丈夫というだけではなくて、発芽のプロセスも慎重に検討する方が良い。
【内水対策について】
・伏古別川の木賊原地区には根本的な課題があると思う。低地に住宅地を造ったので、十勝川の水位が上がった時に、湛水した水をポンプで吸い上げて応急措置をすることは必要であるが、根本的な解決にはならず困ったものである。
【連携と協働について】
・市民とワーキングと行政が連携して知恵を出しながら川づくりをしていくことはとても良いことである。サクラマスが十勝で生息区域を拡大しており、工事でも市民団体の方々と連携して、いろいろ良いことが起こっているような感じがしている。
<ワーキングの様子>
資料1 (PDF 2.18MB)