開催の概要
とかちオーガニック振興会は第4回目となる現地研修会を令和7年7月7日に開催しました。当日は好天に恵まれ21名、うち農業者8名の参加がありました。
午前中は畑作物・野菜の有機栽培をしている浦幌町の伊場ファーム、午後はとかちオーガニック振興会初となる畜産農場の視察先として有機牛肉・自給飼料を生産している足寄町の北十勝ファーム(有)を訪問し、両農場の有機農業の取組や技術を学びました。
伊場ファーム
経営主の伊場満広氏の案内で大豆、ライ麦、スイートコーンの有機栽培ほ場について視察しました。
除草剤を使用しない有機栽培では雑草対策が大きな課題です。伊場氏から作物の生育など条件に合わせて複数の刃を使い分けたカルチ除草について、実演を交えた紹介がありました。
飼料用とうもろこしの有機栽培をする参加者からの「前作のとうもろこしの残渣が残ってカルチを入れづらいので、良い方法はないか」という質問に、伊場氏より「初回のカルチがけの際にウイングディスクを入れると良い」と助言もいただきました。
伊場氏による大豆のカルチ除草実演
とうもろこしの除草について助言する伊場氏
北十勝ファーム(有)
北十勝ファーム(有)は上田金穂氏が代表を務める、日本短角種牛を繁殖から肥育まで一貫して飼養する肉牛牧場です。また、有機畜産農家と関係企業・団体が集う北海道オーガニックビーフ振興協議会(略称HOBA)の会員でもあります。
冒頭にHOBAで事務局を務める北の牧場舎(音更町)の森下氏より、HOBAの概要について紹介いただきました。
その後、上田金穂代表と上田七加氏の案内で牧場内を視察しました。
北十勝ファームは「日本で一番安全な畜産をする」ことを掲げ、有機JAS認証牛肉に限らず安全を重視した自社ブランド牛を販売しています。
粗飼料として牧草(自給)と飼料用とうもろこし(自給、一部畑作農家に委託)を給与しており、肉として出荷する牛を子ウシの頃から国産飼料100%で育てています。
敷地内は有機JAS認証規格の飼養管理を行う区画と非認証の区画が明確に分けられており、牛舎や放牧地の他、飼料の保管場所も分けて混ざらないよう対策がされています。
アニマルウェルフェアに基づく飼養管理をしており、牧場内の牛はどの牛も落ち着いており、人が近づいても驚くことがありませんでした。
牛群改良にも力を入れており、遺伝能力だけでなく買い戻した肉の食味も加味して、優秀な牛群を選抜しています。また北十勝ファーム独自の日本短角種牛の系統を確立し、国内の日本短角種牛の血統の多様さを維持することにも取組んでいます。
有機牧草のラップサイレージは緑色のフィルムで梱包して目印にしている
酒粕、醤油粕など給与している有機の副産物飼料を紹介する上田代表
十勝農業改良普及センターと十勝総合振興局農務課が事務局となり運営するとかちオーガニック振興課では、今後も農業者が有機農業について学ぶことができる研修会を企画していきます。是非ご参加ください。