基盤整備から農村環境整備へ

 国は食料の安定供給と農業の競争力強化を図るため、昭和40年(1965年)から「土地改良長期計画」に基づき計画的な土地改良事業を推進してきましたが、農業の近代化により農業と他産業との所得格差の是正が進む一方、農村から都市への人口流出が止まず集落機能の低下が問題とされるほか、都市近郊では農村の混住化が進み農村の住環境整備、農村の活性化などが大きな課題とされるようになってきました。
 このような課題に応えるために、昭和48年(1973年)には「農村総合整備モデル事業」が創設され、農業集落の道路や排水施設、農村公園などの整備が進められたほか昭和50年頃からは農村道路のアスファルト舗装が認められるようになり農村定住環境の改善が図られました。昭和58年(1983年)には「農業集落排水事業」が創設され、都市に比べて遅れていた農業集落の下水道整備が可能となりました。
 また、営農条件や居住条件が不利な中山間地域において農業生産の担い手確保が困難となり耕作放棄地が目立つなど農業の存続が危ぶまれる状況見受けられる中、国はそのような地域の生産基盤と、定住環境はや活性化施設の整備を総合的に進めるため「中山間地域総合整備事業」を平成3年(1991年)に創設し、整備が遅れがちであった地域の一体的な活性化の推進が図られました。
 平成2年には「ふるさと創生」資金が全国の市町村に交付されたほか、「農業農村活性化構造改善事業」や起債事業などを活用して地域の人々による「村おこし」が進められ、都市と農村の交流や一村一品など地場産品の加工への取組も活発化しました。
 このような時代の要請を受けて、平成3年からは「農業基盤整備事業」の名称を「農業農村整備事業」と変更し、従来の土地基盤整備に加えて、農村地域への定住条件整備や活性化施設整備、自然景観や生態系との調和に配慮した事業を推進するようになりました。
 一方、平成5年(1993年)のガット・ウルグアイラウンド(UR)の農業合意により農業の国際化が一段と進展しましたが、北海道は国のUR対策と連携して本道農業の競争力強化を図るために平成8年から「21世紀農地パワーアップ事業」を展開しました。この事業は市町村と協力して、暗渠排水、土層改良、家畜ふん尿処理施設などの工種の農家負担を大幅に軽減することで、基盤整備の促進を図るものです。
 同様の対策は現在も継続しており、平成24年度からは、本道農業の生産性の向上を通じた食料供給力強化の観点で、暗渠排水などの排水対策や区画整理、土層改良、用水整備を実施する農家の負担軽減を図っています。

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