十勝農業の飛躍的発展

 十勝の農地は多くが火山灰を母材に形成された土壌であるため、軽しょうで乾燥すると飛散しやすく、春先には土煙が舞う一方、雨が降ると泥濘化してトラクターなど重量のある機械は車輪が沈下して作業が困難となるほか、保水力が高く乾燥が遅いため適期作業に支障を来しやすいという、扱いにくい土壌です。
 この対策として、昭和20年代から国営の直轄明渠排水事業などによる排水改良や十勝農協連など農業団体による耕土改良事業が進められてきましたが、40年代に入り道営畑総事業などの補助制度が充実されてからは、末端の明渠排水や暗渠排水の整備が進み、農地の排水改良は飛躍的に進みました。
 このような土地基盤整備と農作業の機械化により、十勝の農業はそれまでの豆作偏重からてん菜、馬鈴しょ、小麦を取り入れた輪作体系へ転換する条件が整い、品種改良や営農農技術の向上と相まって、冷災害への危険分散が図られました。
 この結果、昭和57年(1982年)には農業粗生産額が2,000億円を突破し、59年(1984年)からは2,000億円台を維持するなど農業生産の拡大と安定が実現されました。

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