H29第2回北海道の管理河川の川づくりワーキング

平成29年度 第2回 北海道の管理河川の川づくりワーキング 現地見学会

 

   日時 平成29年10月19日(木) 09:00~16:00
   見学河川:旧途別川、長流枝内川、居辺川
       芽室川、帯広川、ウツベツ川、伏古別川   

 

 

 

 

平成29年度 第2回 北海道の管理河川の川づくりワーキング:現地見学会が、平成29年10月19日(木)に開催されました。   

今回は、平成29年度施工箇所である居辺川の12号床固工設置箇所、芽室川の災害復旧工事箇所(施工中)、ウツベツ川の厚生病院付近、伏古別川の最下流部、また、平成28年度の施工後、流れに変化をつけるための試験施工をしたウツベツ川の高倉橋上流部、さらに、平成30年度以降施工予定箇所である居辺川の東大橋上流部のほか、平成29年度以降に実施される河道内樹木伐採箇所である旧途別川の相川17号橋付近、長流枝内川の黒田橋付近、帯広川の西16条橋付近を見学し、帯広建設管理部事業課より施工内容等について説明をしました。

バスでの移動中や現地見学中に施工内容や環境対策などについてメンバーの方からご意見をいただきました。

 

 ※意見内容については、事務局にて一部要約しています。

 

        北海道の管理河川の川づくりワーキングのメンバー(今回の欠席者を含む)

 

団体名

氏名 

一般財団法人 十勝エコロジーパーク財団  神 弘 

浦幌野鳥倶楽部

武藤 満雄

NPO法人 十勝多自然ネット

河合 将弘

帯広ウチダザリガニ・バスターズ

鏡 坦

帯広川伏古地区子どもの水辺協議会

関川 三男

帯広市町内会連合会 環境衛生部会

上坂 武郎、金森 秀雄、山崎 富士夫、坂本 敏郎

川と河畔林を考える会

高倉 裕一、和田 哲男  

地球環境を守る十勝連絡会

平譯 正勝

十勝川水系の生態系再生実行委員会

石垣 章

十勝川中流部市民協働会議

紅葉 克也

十勝川のシシャモを守る会 越谷 光裕   

十勝環境問題連絡会

米澤 昭彦、久保下 正哲

日本野鳥の会十勝支部

飯嶋 良朗

帯広建設管理部 事業課

谷内山 裕明

 

 

 

 

 

 

 

見学箇所   

  1. 旧途別川 相川17号橋
  2. 長流枝内川 黒田橋
  3. 居辺川 東大橋
  4. 居辺川 東大橋と清進橋の間(12号床固工設置箇所)
  5. 芽室川 芽室橋とJR橋の間(災害復旧施工箇所)
  6. 帯広川 西16条橋
  7. ウツベツ川 西13条橋上流(厚生病院新設箇所沿い)
  8. ウツベツ川 高倉橋
  9. 伏古別川 最下流部

 

メンバーから出された主な意見等

 

【環境調査に参加・同行した委員から】

・  今見学した居辺川で、東大橋の上下1kmくらい川の中を踏査して魚(サクラマス)の調査をした(建設管理部調査への参加)。調査した区間は、地質的になかなかサクラマスがすめる状態ではない川であり、実際にいなかった。今回の工事に関しては問題ないであろう。   

・  建設管理部による居辺川のニホンザリガニ調査に同行した。非常に厳密に、他ではないだろうというくらい徹底的に調査した。調査のクオリティーについては、徹底的にやってもらったといえる。課題は、生息地を保護したままどうやって工事をやるかということに移っていくと思う。   

 

【河川環境について】

・  今日見たいくつかの川には、たぶんウチダザリガニが入りこんでいる。所属団体では1つの川に集中して、いなくなるまで頑張ろうと5~6年間駆除してきたが、限界がある。ウチダザリガニの繁殖力は強い。ウチダザリガニはここの風土に合っている。共生を考えなければいけないのではないかということまで、今日の川を見学し考えた。

・  ウツベツ川の護岸が下げられてほとんど垂直になるが、どのような環境になるか。ウツベツ川水辺の楽校のところは、滞留して水が汚くなかなか親しめない。高倉橋のところはきれいであった。流れがあれば水がきれいになり水辺に近づける。

 

【河道内樹木伐採について】   

・  橋から5mくらいはスッキリ伐採する方がいいと思う。   

・  橋の上下流15mを皆伐するということだが、完全に伐ってしまうと橋からの眺めがよくない。低木の樹種があるなら残しておいた方がいいと思う。残す木の列を橋がある部分でも連続させるといい。流量観測をする場合、精度を上げるために流木が引っかからないよう橋の付近を皆伐するのだが、そこだけ流れが変わって被害の原因となることがある。    

・  HQ曲線式(水位流量曲線式)をつくれるくらいの流量観測を、簡易に一か所でもできると、伐採した効果がきちんとわかる。モニタリングとしては、簡易水位観測でもよい。

・  河川に長く携わっている人でないと、樹木伐採の必要性が実感としてわからないので、流量観測を検討してもらえるとありがたい。伐る前と後の比較をしたくてデータを探してもらったのだが見つからなかった。   

・  河川工学の研究者は、樹木伐採の効果について実験的に確認しているのでは ないか。   

・  旧途別川は落差がなく、夏は水量が少なくて一気に水温が上がり、底質が泥の川なので、魚がそれほどいない川である。一方で、ちょっとした増水で氾濫し、周りの農家が大変な目に遭っているところである。落下昆虫に留意して河岸に木を残すよりも、なるべく河積を大きくして水が流れるようにした方がいいと思う。

・  旧途別川のふ化場でサケの稚魚放流に関わったことがあるが、今放流している稚魚は、旧途別川に残るのがせいぜい2~3日であり、1週間で十勝川河口部にまで下る。ここの川で落下昆虫を餌にすることはほとんどなく、餌がなければ一気に下る。樹木を残すのであれば、南側の日陰になるくらいを考えて、それほど残さなくてもいい。

・  帯広川西16条橋下流の左岸には道がついていて、利用しやすそうであった。図面では右岸の10m幅の樹木を残し、左岸ではケショウヤナギだけ残すことになっているが、他にも単体で残してよいと思う。ケショウヤナギだけ残すとかえって不自然。散歩道沿いに樹木があるとよい。地域の意見も取り入れられるとよい。

 

【ウツベツ川での水制工試験施工について】   

・ この水制工(バーブ工法)設置で、建設管理部事業課の人が現場に出て直接       

 作業をしていたのは、いいことである。

・  この水制工直営作業はとてもよいことである。   

・  こういうように手作業で工夫を実施すれば川が変わっている。すごいことだと思う。

・  この水制工設置は短時間で行われており、たいしたものである。短時間で済む作業なので、何箇所かでいろいろな考え方によって実験できるといい。

・  バーブ工法に興味がある。これからも違う工法でやってみるとか、実施した場所の状況をしばらく追ってもらい、教えてもらえるといい。

・  今、水制工を上流向きに設置してあるが、これは土砂を下流などにためる効果が強い。下に向けると流れを対岸に向ける効果がある。次に設置する時には角度を変えてみると面白いと思う。水位によっても効果は変わってくるので、試しながら考えるといい。

・  このような水制工によって、河床洗堀の防止等も考えていけるのではないか。

 

【川とのふれあいについて】

・  病院に入院している人などウツベツ川沿いまで来た人が、コイくらい見られるといい。餌をやるくらいできて、生き物と触れ合えてもいい。

・  親水護岸の箇所で子供が遊びだせば、とても素敵なことである。それは病院側(左岸)ではなく住宅地側(右岸)に関わることになる。   

・  持ち上げられる玉石を置いておき、子供が川遊びするときに自由に積み上げてもらうといい。   

・  親水護岸の箇所については、護岸をすると殺風景になる。緑を増やすのは難しいが、シンボル的なもの、木などが1つあると親水という面でよくなる。そうした工夫が話題を呼べば、人を寄せることにつながりいい評価を受けられるだろう。

 帯広川西16条橋付近について、左岸のススキなどいろいろな植物が生えているところは、うまく利用すれば、子供たちが川に寄って遊べる空間になるのではないか。止水で谷地状になっていたが、下がよく見えるようになれば近づけるのではないか。

 

【その他施工方法について】

・  居辺川で、拡幅工事の掘削土による埋め戻しに期待している。うまく行けば、他の川にも応用できる。工事中、基礎掘削の時に、特に後で埋め戻される所の地質等の記録を整理していただきたい。

・  床固工の工事で土質構造が、地体(層序)など掘ってみて変わる要素が出てくることがあろうかと思う。その中でよりよい方法を交えながら、自然にやさしい方法でやっていけるとよい。

・  以前川底のくぼみに置かれた玉石が流されてたまり、流れに変化をもたらしている。自然にはないものだとしても、工事後もこういう形ができるように、玉石を浮かしたまま置くといい。水中に酸素の供給がもたらされもする。

・  同じ川の中で、ここは水制工、少し上流では親水護岸となっているが、パーツパーツで終わらせるのではなく、全体として一つの考え方をもち、時間をかけて進めていくといい。

・  例えば、沿川住民が記念やきっかけで川に石を置いていくというように、都市河川は地域住民が納得する形で動かしていく方がいい。行政だけがやるのではなくて、枠組みをもって行えるといい。

 

【ウツベツ川下流部について】

・  水門は雨水のみの吐口。この辺りは、柏林台などと同様にもともと低い土地である。湿地を造成して宅地化しているので、昔はかなり出水し、昭和56年の出水の時にもかなり浸水したはずである。かなりの量が排水されており出水時にはマンホールからポンプで強制排水もしていた。今はだいぶ水が抜けるようになったが。湿地帯だったので出る水も赤い谷地水である。

 

【治水と環境、川とのふれあいについて】

・  芽室川の災害復旧を見たが、自然との共生も大事だが、まず人命、経済活動を守るべき。まずは治水、その次に川と親しむ、と考えて活動している。

 

【事業の進め方、調査、川づくりワーキングについて】

・  今日の見学では、それぞれの川の特性が見えた。

・  実際に現場を見ながら説明を聞いたり、質問したりすることがすごく大事なことだと思った。今日は事業の意図がかなりよくわかった。   

・  いろいろよく調査されている。   

・  よく調べられている。ワーキング委員からも専門的な立場から意見をいただいているので、とても役に立っていると思う。私たちの思いをきちんと伝えていくという流儀が、こういう取り組みになっていると思う。

・  専門の先生方がしっかりと調べていて、保全など対策が考えられていることに感心した。貴重な動植物の保護と安全安心のための工事が、どう折り合いをつけていくのかが大切。どこまで残すか照査して、最後に工夫が出てくると思う。

・  大雨増水や台風の被害を考えると、伏古別川は予算が付き次第早く改修をやってもらったほうがいいと思う。

・  豊頃町では、平成28年の大雨で十勝川が堤防ギリギリまで増水した。今後もこのような雨があるかもしれない。豊頃町は下流自治体であり、上流域でも保水してほしい。

・  行政がたくさんのお金をかけ施設などを工夫して造っている。それをどの様に活用し維持していくかということが、地域に住んでいる人間に課せられていることだと感じる。

・  ウツベツ川では、厚生病院と北海道が連携して川の管理をするという枠組みができているので、できれば対岸の町内会や付近の小学校とも話をして、川づくりの共通認識を作れると素敵な事業となるのではないか。

・  北海道による市民団体協働の川づくり事業やこの川づくりワーキングなどについて、行政による一般の方々へのアピールが足りない。   

 

 

 

 

 

 

ワーキングの様子 

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