H28第3回北海道の管理河川の川づくりワーキング

平成28年度 第3回 北海道の管理河川の川づくりワーキング

 

   日時 平成29年2月22日(水) 14:00~16:00
   場所 十勝総合振興局帯広建設管理部 2階 A会議室

 

平成28年度第3回北海道の管理河川の川づくりワーキングが、平成29年2月22日(水)に実施されました。 今回は、平成28年度に実施された環境調査結果について帯広建設管理部から説明されたのち、これまでのワーキングで出された委員からの意見に基づいて意見交換を行いました。また、平成28年度実施の関連工事と平成29年度事業計画についての説明ののち、平成28年8月台風による被災状況と復旧工事についての説明、及び、質疑応答を行いました。

 注意)資料や議事内容については、事務局にて一部要約しています。

 

 

 

北海道の管理河川の川づくりワーキングのメンバー(今回の欠席者を含む)

 

団体名

氏名 

一般財団法人 十勝エコロジーパーク財団  古川 耕一、神 弘 
NPO法人 十勝多自然ネット 河合 将弘
NPO法人 日本野鳥の会十勝支部 室瀬 秋宏
帯広ウチダザリガニ・バスターズ 鏡 坦 
帯広川伏古地区子どもの水辺協議会 関川 三男
川と河畔林を考える会 高倉 裕一
地球環境を守る十勝連絡会 平譯 正勝
十勝川水系の生態系再生実行委員会 石垣 章
十勝川中流部市民協働会議 紅葉 克也
十勝川のシシャモを守る会 和田 宏樹、越谷 光裕
帯広建設管理部 事業課 山本 文昭

 

 

 

 

 

 

 

主な実施内容
 1.平成28年度環境調査結果の説明:ウツベツ川・柏林台川
 2.委員によるこれまでの意見に基づく意見交換
 3.平成28年度実施の関連工事の説明:ウツベツ川地区
 4.平成29年度事業計画の説明
 5.平成28年8月台風による被災状況と復旧工事の説明と質疑応答

 

メンバーから出された主な意見等

【治水と河川利用について】
●河川事業では治水が一番大事であり、安全を担保してもらったあと、体験学習などで川を楽しみたいと考えている。他のワーキング委員の方にも同意いただけると思っている。

【居辺川砂防区間での施工方法について】
●渋山川では上流から順に砂防施設を設けていく中で、下流部で後手に回ったことで河床低下が生じたと思われる。居辺川砂防区間では対策が後手に回らないよう、複数の床固工を同時・連続的に施工することを提案した。
●単年度予算には限界があるものだが、可能な範囲で後手に回らないようにすることを意識し、後で忸怩たる思いをすることがないよう事業を進めてもらいたい。
●床固工は、来年度予算がつけば工事にかかるということでよいか(異議なし)。

【居辺川砂防区間の生物について】
●魚類や水生生物について、知見や興味のあるワーキング委員で調査を行いたい。
●スリットと澪筋を連続させるように水路整備を行うことは問題ない。工事後モニタリングを行い、ヤマセミが繁殖しているかどうかを確認してほしい。所属団体でもモニタリングに参加できる。
●ニホンザリガニについては、上流部で川をいじることで下流部の生息地がダメになることがある。一度現地を見せてもらい、もしそうした危険があるようなら指摘したい。

【居辺川砂防区間の地質について】
●床固工を施工する河床の地質には配慮が必要ではないか。火砕流堆積物の地層が、将来大規模に洗掘される心配はないのか。
●(事務局回答)砂礫層が2~3mあり、その下に火砕流堆積物(池田層最上部)が深くある。これ以上河床が低下するといけないので、構造物で支えることで砂礫層を保てる。

【帯広川中流地区での樹木管理について】
●川の流れを阻害しないような形で樹木をある程度残せる場合、樹種に着目して残すとよい。選定する例を挙げると、実がなって大きくならない樹木としては、エゾニワトコやマユミがある。これらは野鳥の餌となり、また、エゾニワトコは、種類によるが、野鳥が巣をかけやすい樹形をしている。
●ニセアカシアはトゲがあり、釣りをする際長靴に穴をあけられる。なくしたい。
●樹種の同定や選定は、所属団体でも実施可能である。

【帯広川での過去の工事の効果について】
●新帯広川があったことで、帯広川での洪水被害が少なく済んだ。これまでの工事が役に立っているということは、ここで確認しておきたい。

【ウツベツ川地区・柏林台川地区のザリガニ類について】
●第二柏林台川くらいまでのぼると、ニホンザリガニがいる可能性はある。
●ウツベツ川・柏林台川くらいの川なら、本気でやればウチダザリガニ対策はできる。
●本気でのウチダザリガニ対策は、行政サイドではなく、住民サイドの取り組みになるような気がする。

【ウツベツ川地区・柏林台川地区の水路形状について(ウチダザリガニ対策含む)】
●街中でもあるので、排水溝らしくない方がいい。ただ蛇行にするのは費用がかかるだろう。みんなで考えながらやっていけるといい。
●川らしくというのは、護岸と護岸の間で流れがいろいろな動きをすること。
●ウツベツ川の高倉橋の下流側がうまく蛇行していてよい。
●水は深い方が、勢いがある。多自然川づくりは川自体の力でつくられるのが基本。工事では薄い流れとなるので勢いがなくなるのは避けられない。昨年の様な出水があれば攪乱されるが、予測できない。見込みどおりにいかない部分は、たとえば河床をほぐすなど手を加える必要がある。
●平面的に川の流れに出す形で突起(障害物)をつくると、自然と土砂が貯まったり、川の流れが変わったりする。工事で発生する使用後のブロックを利用すると、費用の面でも廃棄物削減という面でも良い。浦幌町の下頃辺川で、良い環境になり20年経っても維持されている事例がある。
●突起とは、資料3のp11の写真にある踏み石のイメージだろう。障害物をつくれば、小さな渦ができて酸素の供給ができる。いろいろな大きさの砂利、石を入れることにより、水生昆虫や稚魚などのよい生息空間となる。しかし、ウチダザリガニも入り込んで繁殖することが考えられる。
●突起へのウチダザリガニの侵入を防げれば非常によい。生殖個体は大きいので、入れないように囲い(金網など)を張るとよい。小さい個体は他の生物の餌となる。大きいものは入れないので、川として生息密度が小さくなるのではないか。網の目の大きさなどいろいろ実験としてやっていくとよい。いろいろな生き物が来る川らしい川とするための、面白い試みとなる。
●網で石などを包む方法は実験的な試みであり、定期的なモニタリングが重要となる。知見・関心を持つワーキング委員に活躍してもらいたい。
●川の中にブロックを置くというのは、流れが遅いところではよい。ただ、帯広川のブロックは20年で全部なくなった。適材適所でこうした工夫を実験的にやっていくということでよいのではないか。
●突起のウチダザリガニ防止用のネット、傷んだ場合取り替える予算はつくのか。
●(事務局回答)維持・補修予算には限りがあり、生活環境への影響や保全重要種に悪影響がある場合、あるいは河川構造物の機能が低下した場合などに対して優先的に予算がつく。次世代のウチダザリガニを抑制したという効果が確認されると、維持費が出る可能性がある。

【ウツベツ川地区で予定されている親水護岸について】
●ウツベツ川の川に近づける護岸については、旧オベトン川(浦幌町)の工事事例がイメージされていると思う。住民に聞くと、水質、川の汚れでイメージができてしまうようだ。まず、きれいな水だというイメージが先に持たれないと、せっかく造っても人が中に入っていくのは厳しい。

【伏古別川の治水対策について】
●伏古別川自体を広げても、(流入先の十勝川に対して)水位があまり高くないので水が溜まりやすい。住宅地の中でもあり、排水するしか方法はないのではないか。
●両岸が住家なのでそれを押しのけてまで幅を拡げることは不可能であり、深く掘っても合流先である十勝川本流の河床高がある。ここをいじるのは得策ではない。やはり、排水機場を整備せざるを得ない場所だと思う。

●【伏古別川の生物について】
伏古別川水辺の楽校では、所属団体で啓北小学校の児童と自然観察会をやっている。平成27年には、タモ網でウチダザリガニが10匹程度捕れた。平成28年にも観察会で再度確認しようとしたが、台風でできなかった。
●ミクリは簡単に移植できる。量より箇所数の方が重要。条件が良ければどんどん増える。

【被災状況と復旧工事について】
●緊急の工事でもワーキングで考えたことに配慮していただいているとのことで感謝申し上げる。
●音更川上流について、樹林帯を緩衝空間にできるとよい。
●音更川では周辺の土地利用が進み、堤防間が札内川に比べて狭い。治水地形分類図を見ると音更川では堤防近くに旧川跡が多くて札内川の倍あり、それが音更川での被害の大きさにつながったのではないか。

【音更川における河川管理者や事業者等の連携について】
●音更川上流は北海道の管理で下流は国の管理であるが、連携はどのようにされているのか。また、上流の発電施設の事業者と河川安全管理についての連携は、うまくいっているのか。
●(事務局回答)流域会議が設定されていて、河川管理者、自治体、事業者らによって、今回の事象の検証・確認が行われていると聞いている。

【座長総評】
●ワーキング委員は、街に出るとき工事中のウツベツ川を見にいき、意見があれば事務局に寄せるのがいいと思う。
●居辺川下流の河川区間や渋山川についても含め、意見があれば事務局に伝えて来年度のワーキングに残していくのが、現ワーキング委員の責務だと思っている。

 

ワーキングの様子

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