見学箇所(見学順)
1.居辺川(河川区間):常盤中央橋、居辺橋(下流)、睦橋
2.居辺川(砂防区間):居辺橋(上流)、東大橋
3.渋山川:床固工付近、1号砂防ダム
4.帯広川:開西橋
5.柏林台川:最下流部
6.ウツベツ川:西14条南12丁目付近
7.伏古別川:啓北橋上流
メンバーから出された主な意見等
【居辺川について】
•居辺川は想像以上に複雑で難しい川だという印象を受けた。
•居辺川は、ずいぶん暴れる川だという印象を受けた。
•居辺川の常盤中央橋のところの水草の繁茂状況を見ると、堤内からのチッソ分の影響を強く受けている川だという感じがした。
•居辺川の左岸と右岸の台地は、100万年前に十勝三股火砕流がつくったもの。それ以降、川が侵食しながら流れてきている。火砕流は固結しているところとしていないところがあり、固結していないところは水にあたると非常にもろい。
•居辺川は治水事業がしっかり入ってない川なのだろう。5名の方が亡くなっていることでもあり、安全上、治水事業はしっかりやって欲しい。
•居辺橋(上流)では土砂が堆積している状況があり、山腹では崩れているところがあった。治水と治山を一緒に考えた工事になると思う。ワーキングでいろいろ連携して考えていきたい。
•居辺川では、砂防計画と河川計画の調整が必要。砂防区間は土砂流出を防ぐこと、河道侵食を防ぐことを目的とする。河川区間は、堆積を防ぐこと、河床低下を防ぐこと、河岸侵食を防ぐという目的で、計画の考え方が違う。うまく合わせなければならない。モニタリングとフィードバックが大切だと思う。
•居辺川の睦橋のところでは、護岸のためにコンクリートが打ってあったが、河床は洗掘されていても堤防は守られており、護岸は機能している。
•平成15年に死亡事故が起きた居辺橋(上流)における、危険時交通止めの工夫(ゲート)など、きっちり人命を守る活動をやっていることを、多くの人に周知することが重要である。
【渋山川について】
• 1号砂防ダムができて約50年経っても、土砂がほとんどたまっていない。渋山川がもとも砂礫の供給が少ない川だということは、地質、地形、自然の歴史について確かめればわかることであり、河床の砂礫層が薄い川だということを捉えておくべきだった。そして、河川整備によりその砂礫層が急激になくなり、その下にもろい十勝三股火砕流堆積物があったため、河床低下が進んでいる。周囲の地質図など自然史の確認が不十分であった。
•砂防ダムへの堆砂は少ないながらあり、下流の河床低下への影響もなくはないだろう。砂防ダムには、スリットを何本か入れるといい。
【帯広川について】
• 帯広川の堤防の舗装整備を連続させ、自転車道としてさらに利用しやすくしてほしい。
•地域の住民で自主的に、帯広川の排出口周辺の草刈りをしてきた。今年、それに対して振興局からお金が出された。住民としてもうれしく、振興局としても安上がりとなる。このように、地域の住民が行政と協力して川の管理を行っていくのは、とてもいいことである。
【伏古別川について】
•伏古別川にはカモもコイもフナもニジマスもいて、人に見せたい川である。
•伏古別川水辺の楽校付近は、安全のために地域が協力して草刈りを2回多く行っている。一方で、草刈りはカモの子育てが終わってからやってほしいという声もある。
•伏古別川水辺の楽校の階段が傷んでおり危険なので、対処してほしいと地域から要望がある。
•伏古別川の第2啓北歩道橋上流では水が流れにくく、大雨が降ると逆流して「臭い」という話が地域から出ている。水質を調べてほしい。
•伏古別川の流れをよくするために、樋門のあたりからずっとヘドロをすくってもらいたい。川幅を広げると水深が浅くなり流れが悪くなるため、深い流れにしてほしい。
【生物、自然環境について】
•鳥類について、重要種が何種類か記録されているが、繁殖しているかどうかが重要である。
ハイタカは、カラマツ、エゾマツ、トドマツ植林地に営巣する。林相から居辺川工事区域では繁殖していない可能性が高い。仮に工事区域内(付近)に巣があっても、繁殖期を避けて工事すればよい。
オシドリは、樹洞や岩のくぼみで繁殖をする。洞のある木を残した方がよい。
ヤマセミは、斜面に穴を掘って巣にする。巣穴があるような斜面を保全することが重要である。
コアカゲラは、直径10cm程度の枯れ木、枯れ枝に巣穴をつくる。工事で一時的になくなっても、川には延長があるので他にそういった環境が維持されていればよい。
オオジシギは生態がよくわかっておらず、草原でも林でも繁殖し、巣は毎年固定されているわけではない。川全体の環境が1年ですべてなくならないのなら、場所を探しながら営巣していくと思う。
オオアカゲラは、帯広川で確認されているが山地の林で繁殖する。帯広川中流地区の工事で営巣環境がなくなることはない。
オオタカについては、カラマツ林で繁殖している。仮に工事箇所の近くで繁殖しているとしても、繁殖期を避けて工事すればよい。
•工事で鳥類が餌を採れる環境を造ってほしい。ワーキングを通してそうしたことを考えたい。
•魚の生態、生息、移動を考えた河道・魚道を考えていかなければならないところがたくさんある。泳ぎの強い魚は移動できるが、弱い魚はどう考えていくのか。ワーキングで一緒に考えていきたい。
•特に川の中の砂利を動かすときに魚にどういう影響があるのか、魚の生態を考えて、工事の時期、掘削方法を打ち合わせていきたい。
•ヤマメの生息範囲は餌の密度に影響を受けるので、河畔林が重要な要素になる。川幅が広ければ掘削しても将来的に河畔林を期待できるが、岩盤が出て川幅が取れない箇所は、別な面で餌について考える必要がある。
•居辺川流域には、いろいろな場所にニホンザリガニがいるとの印象を受けた。昔は十勝平野のどこにでもいたが最近急激にいなくなった。河川工事よりも農地開発が原因で減少している。ただ、今ザリガニが残っているのが河川の上流部や小さな支川であり、そこを守るような工法、配慮が必要である。そうすることで、お互い関係を持って生きている生物全体にいい影響を与えられるのではないか。
•居辺川の状況で「自然が残っている」と言われるのは、十勝の川全体に自然な川が少ないということだと感じる。
【川づくりを考えるにあたって】
•それぞれの川の自然の歴史、特徴、地質や地形を考えながら対処すべき。地形・地質の専門家の知識も含めて考えてほしい。
•川はいろいろな歴史があって今がある。そういったことを話し合う機会が大事。長期間に渡る治水の理念も大事だが、中期的、近々の地域との話し合いも必要である。
•川の歴史等を話せる方に来てもらえると理解しやすいので、可能であれば配慮いただきたい。
•川のそばで生活する人や、川の周りでの農業で人を支えている人を考えると、人間の生きる道を確保して、その上で生物と共存していく川づくりを目指してほしい。1に人命、2に自然でお願いしたい。
•河川工事で河道が変化した時に、健全な河原が維持されるかが重要である。すなわち、砂州が動くかどうか、移動しなくても砂礫が入れ変わって、新鮮な状態でいるかということ。砂州が固定すると、せっかく川幅を広げても樹林化して流下能力が小さくなる。
•橋の周りのコンクリートブロック護岸であるが、センスのいい、見ていて気持ちのいい整備を望む。子供達を連れて行って遊ぶ時に、まっすぐなコンクリートブロックに乗せるのではなく、もう少し自然ぽい「色」がほしいと感じる。
※各メンバーの発言については、事務局にて一部要約しております。
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