と畜検査
安全な食肉の供給のため、「と畜場法」の定めにより、食用獣畜(牛、馬、豚、めん羊、山羊)のとさつ・解体は「と畜場」において行い、獣医師である「と畜検査員」による一頭毎の検査を受けなければなりません。
1.生体検査
農場からと畜場に運び込まれた食用獣畜に異常がないか、視診、触診、聴診、体温測定等により検査を行います。
食用に供することができないような異常が認められた獣畜は、とさつ禁止とします。
また、動物用医薬品の使用状況について、申告に基づき、出荷制限期間(動物用医薬品毎に定められた、使用後と畜できない期間)を過ぎていることを確認しています。
生体検査に合格した獣畜だけがとさつされます。
2.解体前検査
とさつ後、解体前の獣畜の状態を検査します。ここで食用に供することができないような異常を認めた獣畜は解体禁止とします。
3.解体後検査
とさつされた獣畜は、放血、内臓摘出、背割り等の工程を経て、脊柱(背骨)の中央から左右に二分割された「枝肉」となります。と畜検査員は、摘出された内臓及び枝肉等の検査(解体後検査)を行います。
(1)内臓検査
摘出された内臓(心臓、肺、肝臓、脾臓、消化管等)及び頭部並びに尾を検査します。異常(変性、炎症等)を認めた内臓は廃棄を指示します(一部廃棄)。
(2)枝肉検査
枝肉について、外貌及び必要に応じ検査刀を用いた検査を行います。炎症や出血等、異常な部分があれば切除します(一部廃棄)。
内臓検査及び枝肉検査の結果、全身性の異常又は疾病を認めたものは、内臓及び枝肉をすべて廃棄します(全部廃棄)。
上記の検査だけでは判断ができない場合、処分を保留とし、精密検査の結果により判断を行います。
(3)精密検査
解体後検査等の結果、疾病診断等のため更に検査が必要な場合は、試験室で臓器等の精密検査を行います。
検査内容:病理検査、細菌検査、理化学検査等。
4.検印
と畜検査に合格した枝肉等には、合格の証明として「検印」が押され、食肉として流通します。これはと畜検査を経ていない食肉の流通を防ぐための措置です。
検印の形は動物種ごとに決まっています。
検印のインクには、食品衛生法に適合した食品添加物を使用しています。
上から、牛、馬、めん羊・山羊、豚の検印。