TSE検査

TSEスクリーニング検査

TSEとは

TSEは「伝達性海綿状脳症」の略称です。異常プリオンタンパク質が牛やめん山羊の脳に蓄積することで、脳組織がスポンジ状になり、異常行動や運動失調などを示して死亡する病気です。
牛のTSEを牛海綿状脳症(BSE)と呼びます。感染牛の肉骨粉を餌として与えることで感染すると考えられています。

TSEスクリーニング検査

食肉衛生検査所においては、と畜場で処理されためん山羊及び24ヶ月齢以上の牛のうち、神経症状を示すなど検査が必要と認められるものについてTSEスクリーニング検査を行っています。
この検査では、頭部から延髄を採取し、ELISA法(試料中に異常プリオンタンパク質が含まれるか調べる試験)を実施します。スクリーニング検査で2回陽性となった検体は、大学等で確認検査を行い、これも陽性になった検体は確定診断を行います。これらを経てTSEであると診断された獣畜の肉・内臓等はすべて焼却されます。

TSE検査の流れ

特定部位

TSEの原因とされる異常プリオンタンパク質が蓄積する部位を特定部位と呼びます。と畜場においては、それらを適切に除去していることをと畜検査員が毎日確認しています。
牛の特定部位は、全月齢の扁桃及び回腸(遠位2 m)ならびに30ヶ月齢超の頭部(舌、頬肉、皮及び扁桃を除く)及び脊髄です。
また、牛の特定危険部位(SRM)は、先述の特定部位及び30ヶ月齢超の脊柱(いわゆる背骨のうち、背根神経節を含み、横突起、棘突起、仙骨翼、正中仙骨稜及び尾椎を含まない)であり、適切に除去し処分する必要があります。
めん山羊の特定部位は、全月齢の脾臓及び回腸ならびに12ヶ月齢超の頭部(舌、頬肉及び皮を除く)及び脊髄です。

牛海綿状脳症対策特別措置法

牛海綿状脳症(BSE)の日本国内での発生を受けて平成14年に制定された法律で、BSEの発生予防及び蔓延防止のための特別な措置を定めています。
同法では、特定部位の焼却、特定部位による牛の枝肉及び内臓の汚染防止、個体識別のための耳標の取付け等について定められています。

TSE対策の経過

  • 平成13年(2001年)9月:国内で初めてBSE罹患牛を確認
  • 平成13年10月:BSEスクリーニング検査の全頭実施、特定部位の除去、肉骨粉を含む飼料の給与禁止
  • 平成14年(2002年)6月:牛海綿状脳症対策特別措置法公布
  • 平成16年(2004年)2月:牛について、全頭の脊柱使用禁止
  • 平成17年(2005年)8月:BSE検査対象を21ヶ月齢以上の牛とし、21ヶ月未満の牛について自主検査を行う地方自治体においては、国庫補助を3年継続
  • 平成17年10月:12ヶ月齢以上のめん山羊をTSE検査対象とする
  • 平成21年(2009年)1月:国内最後のBSE発生を確認
  • 平成25年(2013年)2月:脊柱使用禁止の対象牛を30ヶ月齢超とする
  • 平成25年4月:BSE検査対象牛を30ヶ月齢超とする。また、30ヶ月齢超の頭部・脊柱を使用禁止とする
  • 平成25年5月:国際獣疫事務局(OIE)により、日本が「無視できるBSEリスク」の国(BSE清浄国)に認定
  • 平成25年7月:BSE検査対象牛を48ヶ月齢超に限定、北海道は全頭検査廃止
  • 平成29年(2017年)4月:TSE検査対象を、めん山羊及び24ヶ月齢以上の牛のうち、検査が必要であると認められるものに限定

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