食鳥検査
「食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律」により、食鳥(鶏、あひる、七面鳥)は食鳥処理場で衛生的に処理され、年間処理羽数30万羽を超える大規模食鳥処理場では獣医師による食鳥検査が行われています。
1.生体検査
食鳥処理場へ運ばれた食鳥を、生きた状態で外観上の異常(瀕死の状態、動作緩慢、衰弱を呈するもの、痩せているもの、肛門周囲の羽毛に多量の排泄物が付着しているもの等)がないか、鳥インフルエンザ等の伝染病にかかっていないか検査します。
異常または伝染病を認めた場合、とさつを禁止し、廃棄または食用に供することができないようにする措置を行います。
2.脱羽後検査
とさつ、脱羽した食鳥とたいの体表の状況を視覚、触覚及び臭覚により検査します。異常がある食鳥とたい(皮膚または筋肉が著しく暗色化しているもの、異常な腹部膨満を呈するもの、皮膚に多数の炎症などを有するもの等)は、内臓摘出を禁止し、廃棄します。
3.内臓摘出後検査
食鳥中抜きとたいの体壁内側面及び内臓の状況を視診、触診及び臭覚により検査します。
異常を認めたものは、一部(出血や炎症など異常のある肉、臓器、骨、皮の部分)または全部(食鳥中抜きとたい及び内臓)を廃棄します。
必要に応じて精密検査を実施します。
4.全部廃棄となる疾病例
大腸菌症:肝臓、心臓にチーズ様物を認める。
皮膚型マレック病:皮膚の羽包に腫瘤を形成する。
5.食鳥処理及び食鳥検査の流れ
食鳥検査には、生きた鳥の状態を確認する生体検査、脱羽後検査、内臓摘出後検査があります。
食鳥処理
食鳥検査 |
生体受入→と殺・放血→湯付け→脱羽→内臓摘出→洗浄→冷却→加工・包装・保管→出荷 △ △ △ 生体検査 脱羽後検査 内臓摘出後検査 |
6.その他
食鳥処理場の区分
食鳥処理場は、年間処理羽数30万羽を超える大規模食鳥処理場と30万羽以下の認定小規模食鳥処理場に区分されます。
大規模食鳥処理場では、食鳥検査の実施が義務づけられています。
認定小規模食鳥処理場は、食鳥検査は不要ですが、食鳥処理衛生管理者による異常の有無の確認結果を都道府県知事に報告しなければなりません。
食鳥検査の簡略化措置
食鳥検査には簡略化措置があり、一定の条件を満たせば、脱羽後検査と内臓摘出後検査を同時に行うことができます。
また、食鳥処理衛生管理者が食鳥とたい、食鳥中抜きとたい及び内臓について異常の有無の確認を行う場合には、食鳥検査員によるそれらの検査の一部を省略できます。
食鳥処理衛生管理者
食鳥処理衛生管理者は、食鳥処理場ごとに設置が義務づけられ、獣医師、獣医学または畜産学の卒業者、養成施設の修了者、あるいは3年以上の業務経験をもち指定された講習会の課程を修了した者がなることができます。
食鳥検査員
食鳥検査員は、都道府県職員の中で獣医師の資格を持つ者が任命される場合と、都道府県知事から指定された指定検査機関の職員(獣医師)が検査を委任される場合があります。
食鳥とたい、食鳥中抜きとたいの違い
とさつ、脱羽された、内臓摘出前の状態のものを「食鳥とたい」、脱羽後検査に合格し、内臓を摘出された状態のものを、「食鳥中抜きとたい」と言います。