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十勝の分類: 産業・経済 > 森林・林業

最終更新日:2006年3月07日(火)


山の怖さ・愉しさ


山の怖さ・愉しさ

 

皆さんにとって山は怖いですか、それとも愉しいですか?

 

山は怖い?

クマ

  山は何が怖い? と訊くとほとんどの人がクマと答えます。
実際にはクマの事故はそれほど多くはないのですが、センセーショナルに報道されるので恐怖心が増長されてしまいます。
 

北海道におけるヒグマによる人身被害の発生頻度は1.8人/年
(1984-2006年平均、死者0.5人/年、負傷者1.3人/年)

  人間がクマを怖がっている以上にクマは人間を怖がっています。人間がクマを見つけるよりずっと前にクマが人間を見つけて逃げていきますので、普通は会いたくても会えません。
でも偶然に出遭ったらやはり怖いです。国内に棲む最強のほ乳類ということは確かです。

  クマに遭ったら、というよりはまず遭わないようにすることです。自分の存在を知らせる鈴などをぶら下げて歩くというのもいいでしょう。

○ヒグマの出没情報に気をつける
○音を出しながら歩く
○薄暗いときは行動しない
○ヒグマの糞、足跡、食痕を見たら引き返す

  偶然出遭ったら、静かにその場を立ち去ることです。走って逃げたり、大声を出す、石を投げるなどはもってのほかです。クマを刺激しないようにしましょう。
 また子グマを見つけたら必ず母親もいます。親子の間にはいるのが最も危険と言われています。子グマには絶対に近寄らず、来た道を静かに戻って立ち去りましょう。

○遠くにクマを見つけたら
    → 静かに立ち去る
○クマがこちらに気付いたら
    → クマの移動方向を見定め静かに立ち去る
○それでも近づいてきたら
    → クマの目をにらみつけ、ゆっくり後退する

  残飯や生ゴミはクマにとっておいしいごちそうです。山に捨てるのは絶対にやめましょう。
ゴミの味を覚えたクマは、ゴミ捨て場などに繰り返し出没するようになり、人間にも近づくようになります。
人間の近くにえさがあることを覚え、人間を襲うとえさが得られることを覚えたクマは非常に危険です。
クマにえさを与えるなどは自殺行為といってもいいでしょう。

●捕獲個体の胃袋からのゴミの出現率…3.7%
  (2001-2005年に捕獲された619頭中23頭)
●人身被害の発生原因(1984-2006年)
    突然の遭遇     約38%
    手負い個体     約38%
    積極攻撃・捕食   3%
    その他・不明    約23%

いろいろ言いましたけど、一般の人が普通の山歩きでクマに遭うことはほとんどありません。

ヒグマの立った写真
写真提供
佐藤嘉和氏 2000/08/22

ヒグマ

 

ハチ

  クマよりも怖いのがハチです。
実際ハチの事故はクマの数倍発生していて、犠牲者も毎年のように出ています。

北海道におけるハチによる死亡者数は1.3人/年
(人口動態調査・1995-2004年平均)

  ハチが飛んでいてもそれは蜜集めのためで、人間を攻撃するために飛んでいるのではありません。
だからいきなり刺してくることはありません。近づきすぎたり、こちらから攻撃を加えたりすると反撃してきます。ハチを見たら静かに行動すること、そして近くに巣がないか注意しながら歩くことです。
  化粧やジュースなどの匂いはハチを呼び寄せる場合があります。

  巣は木の枝や、地面にもあります。
何人かで行動しているとき、先頭の人が巣を蹴ってしまうと刺されるのは2番目の人です。
先頭の人は特に注意してください。
また、学童の遠足などのように大人数の場合は、その振動だけで襲ってくることもあります。事前にコースの下見をしておくことが必要でしょう。
  ハチを撃退するスプレーなども市販されています。
防虫網などもありますが、ハチは衣服の上からでも刺しますので確実ではありません。

  運悪くハチに刺されたらどうするか。
はじめて刺された時より2回目以降が危険だと言われています。刺されることによって体の中に抗体ができて、次に刺されたときにその抗体が毒素と激しく反応するからです。(アナフィラキシー・ショック)
  蜂毒は水に溶けやすいため、まず傷口を流水で洗い流し、毒を絞り出します。そして安静にし、患部を冷やすなどして様子を見ましょう。けいれんをおこしたり意識があいまいになってきたら急いで病院に運びます。
抗体のある人がやむを得ず山に入る時には抗ヒスタミン軟膏を携帯した方が良いでしょう。最近はハチ刺傷によるアナフィラキシー症状を緩和するためのエピネフリン(アドレナリン)の自己注射器もあります。
  蜂毒は蟻酸ではないのでアンモニアは効きません。昔よく言われたおしっこをかけるなどはもってのほかです。

スズメバチ

 

迷子

  ハチよりもさらに数倍、事故も犠牲者も多いのが迷子です。
山菜採りなどで山に入って迷い、
焦って歩き回るうちに体力を消耗して、最悪の場合死に至ります。
クマやハチに比べて意外と
危険視されていませんが、実はこれが最も危険で、多くの人が何日も捜索したりと世間の影響も多大です。
 
  山菜やキノコを採りに行く時は、しっかりと目印を見定めてから奥へ進むようにします。車のラジオをつけ、あるいは携帯ラジオぶらさげて聞こえる範囲で行動する、これはクマ対策にもなります。  
また天気予報なども事前にチェックしておきましょう。山歩きの専門家が、しっかり地図を持っていて、それでも迷うことがあるというのが山です。過信は絶対に禁物です。
 
  迷ったと思ったら無駄に動かないで救助を待つことが大事です。しかしこの判断はとても難しく、人に迷惑をかけたくない、なんとか脱出できるのでは、と思うのが普通です。
そんな場合でも自分の体力を考えて、落ち着いた行動をとるよう心がけておきましょう。
迷うなどとは夢にも思っていないので、食料や簡易テントなどは普通持っていませんし、携帯電話の電波も届きません。天候が悪化したり日が暮れたりしたら雨露をしのげる所でじっとしていましょう。
  山は本来怖いところではなく愉しいところです。なるべく単独行動は避け、注意を怠らず歩きましょう。
 

奇異な形の木々と職員
迷子ではありませんが…

 

山は愉しい!

キノコ

  山といえばなんと言ってもキノコです。最近は栽培されるものが多く、いつでも食べることができますが、やはり天然のものは風味が違うし、種類も豊富です。

  キノコといえば毒キノコが怖いと言いますが、有名な毒キノコ数種類を覚えておけば、ほかは食べられると思ってもいいくらい毒キノコは少ないのです。とは言っても分からないキノコを食べるのは危険ですから止めた方がいいでしょう。

  毒キノコの見分け方として色があざやかなのは毒とか、縦に裂けるのは食べられるとか、虫が食ってるのは食べられるというのは全部ウソです。
毒キノコは地味なものが多いし、有名な食用キノコであるタマゴタケなどは真っ赤です。毒キノコでも虫は食うし、裂ける、裂けないは全く関係ありません。また大根や茄子が毒消しになるということもありません。

  食用と言われていても人によっては下痢を起こしたりすることもあります。やはり自分で確実に食用と判断できるものを覚え、それに似た毒キノコの見分け方を覚える。そしてその種類をだんだん増やしていくことでしょう。おいしいからといって人にあげたり、もらって食べたりする場合も絶対の自信を持てるものだけにしましょう。

密生するキノコ

 

山菜

  タラの芽、ギョウジャニンニク、フキ、ウド、タケノコ、山には山菜がいっぱいです。
  北海道の山は雪解けとともに山菜の宝庫になります。これも食べられないもの数種類を覚えていれば、他はほとんど食べられると言ってもいいでしょう。
   有毒のトリカブトと違えやすいニリンソウは、花が咲いているものを採る、など見分けは簡単です。
普段は踏んづけてしまっているものでも、食べてみるとおいしいというものが意外に多いのです。
 
  イタドリやヨブスマソウなど、芽を出したばかりのものは皮をむけば生でも食べられるというものが多いようです。またニリンソウ、エゾエンゴサク、エゾノリュウキンカなどのように、採ってきて花を愉しんでから食べるというのも春の山菜の特色です。
 
  山菜を採る時には、根こそぎ採らない、採り尽くさない、ワラビやコゴミなどは刃物を使わないなど、山菜によって一定のルールがあります。また採りすぎると後の処理が大変ということになります。
ルールを守り、適量を採取する、そしておいしくいただきましょう。

タランボ

 

木の実

  木の実もまた山の大きな愉しみです。マブドウ、コクワ(サルナシ)など、食べておいしいものは限られていて、これは毒と間違える危険はほとんどありません。

  秋の山に行って、キノコ狩りや紅葉狩り(これは食べられない)と共に愉しむことができます。
高いところにあるので木に登るか特殊な道具を使う必要がありますが、木を切り倒すのはルール違反です。 採れる範囲で採り、あとはクマさんたちのために残しましょう。
 
  そのまま食べてももちろんおいしいのですが、焼酎に漬けてブドウ酒やコクワ酒などを作る人が多いようです。その時季になるとそれ用のビンが店頭に並びます。

ヤマブドウ

 

人間は緑の中にいると心が落ち着き
山の空気の中にいると健康になります。

そのようにできているのです。
 
そのほかにもに山には愉しさがいっぱいです。


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