エイズの現状【平成30年確定値】
- 日本における2018年(平成30年)新規HIV・エイズ報告数は1,317件で、平成29年より2年連続で減少となりました。感染経路としては、性的接触によるものが8割以上で、その多くが男性同性間の性的接触です。
- 新規報告件数に占めるエイズ患者の割合は28.6%と、診断時に既にエイズを発症している、いわゆる「いきなりエイズ」の患者が約3割を占めています。自分自身がHIVに感染していることを知らない方が数多く存在するとも推定されます。
- 十勝管内でもほぼ毎年、HIV感染者やエイズ患者が出ています。
感染するリスク
クラミジアや梅毒等、他の性感染症に感染しているとHIVに感染するリスクも高くなると言われています。HIVは感染力が非常に弱いウイルスです。
HIVに感染したとしても、エイズを発症する前に治療を開始すれば、発症を遅らせ、他の慢性疾患と同じようにコントロールすることができます。エイズの発症を遅らせ、他の人への感染を予防するためにも、HIV検査を受けて、感染の有無を確認することが大切です。HIVに感染したかどうかを調べるためには、HIV検査しか方法はありません。
エイズの相談や検査について
- エイズに関する相談やHIVに感染しているかどうかの検査は、保健所で受けることができます。感染が心配な人の検査は、匿名、無料で受けられますので、保健所に相談してください。
相談や検査の予約は、HIV相談電話で受け付けています。
(帯広保健所HIV相談電話:0155-21-6399)
- 検査では、血液中のHIV抗体を調べますが(HIV検査)、感染してから血液中に抗体ができるまで3ヶ月くらいかかりますので、感染の可能性がある行為から3ヶ月以上たってからの検査をお勧めします。
- 帯広保健所では毎月2回検査を実施しています(予約制)。検査を受ける方には、予約した時間に保健所に来ていただき、採血(約7ml)を行い、1~2時間後に結果をお知らせします。(場合によっては結果
がわかるまで2週間程度かかることがあります。)
- 令和元年度は6月と12月に夜間検査を実施します。
エイズQ&A
1 HIV感染者とエイズ患者の違いとは?
HIVは、Human Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス)の略で、1983年に発見されたエイズの原因となる病原体であり、ヒトだけにうつるウイルスです。
(ネコやサルのエイズウイルスは、ヒトには感染しません。)また、エイズ(AIDS)は、Acquired ImmunoDeficiency Syndrome(後天性免疫不全症候群)の略です。
- ■HIV感染者
- HIVが体内に入り込んでいる状態で、これといった症状が出ていない人のことです。この症状のな
い時期は、一般的に、数年から10数年(平均10年位)続きますが、この期間においても他人に感染させるおそれがあります。
- ■エイズ患者
- HIVに感染後、数年以上経過していくうちに、HIVが体内で増殖を続け、しだいに体の抵抗力が弱く
なり、普段、健康な時には何でもないような細菌やカビへの感染(日和見感染(ひよりみかんせん))
や悪性腫瘍にかかりやすくなっている人のことです。
2 どのように感染するの?
HIVは、主に次の3つの経路で感染します。
- ■性的接触による感染
- HIVに感染した人の血液や精液、膣分泌液を感染源として、性器や肛門、口などの粘膜や傷口を通して相手の体内に入り感染します。
- ■血液を介しての感染
- HIVが存在する血液の輸血や、覚醒剤などの“回し打ち”による注射器具の共用などによって感染します。
日本では、現在、献血された血液は厳重な検査により最高水準の安全が確保されており、感染の可能性はきわめて低くなっております。
- ■母から子への母子感染
- 母親がHIVに感染している場合、妊娠中や出産時に感染することがあります。母乳による感染の例もあります。日本では、お母さんがHIV感染症の治療薬を飲むことや母乳を与えないことで、赤ちゃんへの感染を1%以下に抑えることができます。
*HIVは熱や塩素に弱く、微量では感染しません。
また、次のような行為やものから感染することはありません。
握手、咳やくしゃみ、おしゃべり、飲み物などの回し飲み、銭湯、プール、飲食店の食器類、理美容院のくしやカミソリ、洋式トイレの便座、お金、公衆電話の受話器、カラオケマイク、電車やバスのつり革、ハエや蚊などの虫さされ、ペットなど |
3 どんな症状がでるの?
HIVに感染しても、すぐにエイズになるわけではなく、しばらくは自覚症状がなく健康そうに見える状態が続き、その後しだいに免疫力が低下し、様々な症状が現れ、最後にエイズを発病します。
- ■HIV感染者(無症候性キャリア)
- 感染から2~4週間後に風邪に似た急性症状が出ることがありますが、多くの人は自覚症状があまり
ありません。この無症状の期間は人により異なりますが、平均で10年位続きます。
- ■エイズ関連症候群
- 無症状期が過ぎ、しだいに免疫力が低下していくと、エイズ関連症候群といわれる次のような症状が現れ、長く続きます。
- 首の回り、脇の下、股のつけねなどのリンパ節がずっと腫れている。
- 発熱、下痢、寝汗などがずっと続く。
- 原因もなく、急に体重が減る。
※このような症状があっても、必ずしもHIVが原因とは限りませんが、長く続くようなら医師の診察を受けてください。
- ■エイズ
- さらに進行すると、体の抵抗力がなくなり、次のような日和見感染や悪性腫瘍ができやすくなりま
す。また、神経系がHIVに冒されることもあります。
- 日和見感染:ニューモシスティス肺炎(カリニ肺炎)、カンジダ症
- 悪性腫瘍:悪性リンパ腫、カポジ肉腫
4 どのように予防するといいの?
感染経路として最も多いのは性的接触なので、予防のためには、より安全な性行動を心がけましょう。
- アナルセックスやオーラルセックスも感染の可能性があるので、必ずコンドームを使うこと。
(旅行先や出張先などで羽目を外したり、アルコールを飲み過ぎるなど、抑制力や判断力を失った状態で無防備な性行動をしないこと。)
5 検査結果がHIV抗体陽性だったらどうすればいいの?
HIV感染症の治療は、作用の異なる3剤以上の抗HIV薬を併用して服薬します。いまのところ、からだの中のHIVを完全に取り除く治療法はありません。
しかし、HIV療法の進歩によって、エイズを発症する前にHIV感染を知り、適切な治療を受ければ、感染前と変わらない日常生活を送ることができるようになりました。最近では1日1回1剤の服用ですむ薬も開発されています。現在は治療薬が進歩し、たとえ感染していたとしても、発病や病状の進行を遅らせることが可能になりました。そのため、治療中であってもほぼ通常の生活を続けることができますが、次のような注意は必要です。
- 専門医の診察と生活指導を受けること。
- 性行為を行う場合は、必ずコンドームを正しく使うこと。
- 性行為を行った相手(行う相手)には感染していることを知らせること。
- 医療機関を受診する時は、医師にHIV陽性であることを知らせること。
- 献血や臓器移植をしないこと。
- カミソリや歯ブラシなど血液の付くおそれのある物は自分専用にすること。
6 どこで治療を受けられるの?
- 十勝では帯広厚生病院がエイズ拠点病院となっています。専門医が治療にあたります。
7 自分の周りの人がHIVに感染していたらどうすればいいの?
HIVは感染力の非常に弱いウイルスであり、また、性的接触以外の日常的な接触で感染することはありませんので、学校や職場、近所づきあいなどで感染する心配はありません。
このことから、皆さんも決して偏見を持つことなく、これまでと同様に接するよう心がけましょう。
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《リンク(詳しくお知りになりたい方へ)》
・北海道のHIV/AIDS情報HAND
・エイズ予防情報ネット(API-Net)
・HIV・検査相談マップ
《ご相談・検査の予約》
■北海道帯広保健所 (
HIV相談電話 :0155-21-6399 )
(検査場所) 案内図
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